「空き家の固定資産税は6倍になる」は本当か
結論から言うと、条件次第で本当です。ただし正確には「6倍」になるのは土地の一部分だけで、仕組みを知らないと勘違いしやすい点がいくつかあります。
そもそも、なぜ空き家の固定資産税は安いのか
住宅が建っている土地(住宅用地)は、固定資産税の課税標準額が次のとおり軽減されています。
| 区分 | 軽減率 |
|---|---|
| 小規模住宅用地(200㎡以下の部分) | 課税標準を1/6に軽減 |
| 一般住宅用地(200㎡を超える部分) | 課税標準を1/3に軽減 |
この「住宅用地の特例」があるため、更地よりも住宅が建っている土地のほうが固定資産税は大幅に安くなっています。空き家を解体せずそのまま放置する人が多いのは、この軽減を失いたくないという事情も一因です。
「6倍」の正体|軽減がなくなるとどうなるか
空き家が一定の基準に該当し、自治体から「勧告」を受けると、この住宅用地の特例が解除されます。軽減がなくなると、次のような変化が起きます。
- 200㎡以下の部分: 1/6の軽減がなくなる → 課税標準が6倍に
- 200㎡を超える部分: 1/3の軽減がなくなる → 課税標準が3倍に
多くの解説記事が「空き家は固定資産税が6倍になる」と書いていますが、正確には敷地のうち200㎡以下の部分が6倍(200㎡超の部分は3倍)というのが実情です。一般的な戸建ての敷地(200㎡以下)であれば、実質的に「6倍になる」と考えて差し支えありません。
出典: 国土交通省「固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置」
6倍になるのはどんな空き家か
すべての空き家が対象になるわけではありません。軽減が解除されるのは、次の2つの区分のどちらかに指定され、勧告を受けた場合です。
特定空家等
次のいずれかの状態にあると認められる空き家です。
- そのまま放置すれば倒壊など著しく保安上危険となるおそれがある
- そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれがある
- 適切な管理が行われていないことで著しく景観を損なっている
- その他、周辺の生活環境の保全のために放置が不適切な状態
管理不全空家等
「このまま放置すれば特定空家等に該当するおそれがある」段階の空き家です。2023年12月13日に施行された改正空家等対策特別措置法で新設された区分で、特定空家等になる前の早い段階から自治体が指導・勧告できるようにする狙いがあります。
どちらの区分も、いきなり課税が変わるわけではありません。「助言・指導」→「勧告」という段階を踏み、勧告を受けた時点でその敷地が住宅用地特例の対象から除外されます(特定空家等はさらに「命令」「行政代執行」に進むこともあります)。国土交通省の集計では、2015年5月〜2023年3月の累計で、特定空家等への勧告は3,078件(417市区町村)にのぼります。
勧告を受ける前にできること
指導や勧告は、ある日突然届くものではありません。次のような対応で、勧告に至る前に状況を変えられます。
- 剪定・清掃などの最低限の管理を行う: 「適切な管理が行われていない」状態を解消するだけで、指導・勧告の対象から外れることがあります。
- 早めの売却・解体も選択肢に: 使う予定がない空き家は、売却するか更地にして活用・売却したほうが、長期的な負担は小さくなることが多いです。
- 空き家バンクという手も: 自治体の空き家バンクに登録すると、移住希望者とのマッチングで想定していなかった形で売却・賃貸につながることがあります。
売却を検討する場合、まずはお住まいの市区町村の相場ページで地価の水準を確認し、複数の不動産会社に査定を依頼してみてください。私道・境界・建物の状態などで売りにくい土地の対処法は売れない土地の手放し方まとめで解説しています。
まとめ
- 空き家の固定資産税が上がるのは、住宅用地の軽減(1/6・1/3)が解除された場合
- 200㎡以下の部分は実質6倍、200㎡を超える部分は3倍になる
- 対象になるのは「特定空家等」「管理不全空家等」に指定され、自治体から勧告を受けた空き家のみ
- 指導の段階で管理・売却・解体などの対応をすれば、勧告(=増税)を避けられる
※ 本記事は国土交通省・総務省の公開情報をもとに作成しています。個別の空き家が特定空家等・管理不全空家等に該当するかどうかの判断は、お住まいの市区町村にご確認ください。