不動産売却の流れ完全ガイド|査定から引き渡しまでの7ステップ

家やマンション、土地を売るのが初めてだと、「何から手を付ければいいのか」「全部でどのくらいかかるのか」が見えず、不安になるものです。

不動産売却の流れは、実は7つのステップに整理できます。全体像を先に頭に入れておけば、各段階で慌てることも、不動産会社に言われるがままに進めてしまうこともなくなります。

この記事では、査定の依頼から引き渡し・確定申告までの流れを、期間の目安と注意点つきで解説します。

売却の全体像|7ステップと期間の目安

ステップ やること 期間の目安
1 相場を調べる 数日
2 査定を依頼する 1〜2週間
3 媒介契約を結ぶ 数日
4 売り出し・内覧対応 1〜3ヶ月
5 価格交渉・買付受領 1〜2週間
6 売買契約を結ぶ 1日(準備1〜2週間)
7 決済・引き渡し 契約から1〜2ヶ月後

トータルの目安は3〜6ヶ月です。立地や価格設定によってはこれより早くも遅くもなります。売却後の確定申告(翌年2〜3月)まで含めると、1年がかりの取り組みと考えておくと余裕を持てます。

ステップ1: 相場を調べる

最初にやるべきは、不動産会社への連絡ではなく、自分で相場観を持つことです。ここを飛ばすと、後で提示される査定額が高いのか安いのか判断できません。

無料で使える公的データベースが2つあります。

  • 不動産情報ライブラリ(国土交通省): 実際の取引価格を地域・物件種別で検索できます。 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/
  • レインズ・マーケット・インフォメーション: 不動産会社間ネットワーク(レインズ)に登録された成約価格を確認できます。 http://www.contract.reins.or.jp/

自分の物件と条件(エリア・面積・築年数)が近い取引を数件見て、「だいたいこのくらい」という幅をつかんでおきましょう。

ステップ2: 査定を依頼する

査定には2種類あります。

  • 机上査定(簡易査定): 物件情報だけで概算を出す。早いが精度は粗い
  • 訪問査定: 担当者が現地を見て査定する。売却前提ならこちらが必須

ここで手を抜かないでほしいのが、複数の会社に依頼して比較することです。同じ物件でも会社によって査定額は数百万円単位で違うことがあります。会社ごとに得意分野や抱えている買い手が違うためです。

比較するときは金額の高さだけでなく、「なぜその価格なのか」の根拠を聞いてください。相場より明らかに高い査定額で媒介契約を取り、後から値下げを迫る「高預かり」というやり口もあります。根拠を説明できない高額査定は疑ってかかったほうが安全です。

ステップ3: 媒介契約を結ぶ

任せる会社を決めたら媒介契約を結びます。契約形態は3種類あり、どれを選ぶかで売却活動の縛りが変わります。

一般媒介 専任媒介 専属専任媒介
複数社への依頼 できる できない できない
自分で買主を見つける できる できる できない
レインズへの登録義務 なし 7日以内 5日以内
活動報告の義務 なし 2週間に1回以上 1週間に1回以上
契約期間 制限なし 最長3ヶ月 最長3ヶ月

どれが正解ということはありませんが、迷ったら、報告義務と登録義務がある専任媒介で3ヶ月様子を見て、動きが悪ければ切り替える——この進め方が無難です。

媒介契約の種類とルール(レインズ登録義務・報告義務・契約期間の上限)は宅地建物取引業法第34条の2で定められています(出典: e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」)。

ステップ4: 売り出し・内覧対応

売り出し価格は、査定額と「いつまでに売りたいか」のバランスで決めます。早く売りたいなら相場付近、時間をかけられるなら少し上から始めて反応を見る——これがセオリーです。

内覧の印象は成約率に直結します。特別なリフォームは不要ですが、水回りの清掃・換気・照明を全部つける・不要品を減らす、といった基本だけで印象は大きく変わります。

この期間にすべきもう一つのことは、販売活動のチェックです。専任媒介なら2週間に1回以上の報告義務があります。問い合わせ数・内覧数が報告されているか、レインズに正しく登録されているかを確認しましょう。

ステップ5: 価格交渉・買付受領

購入希望者が現れると「買付証明書(購入申込書)」が届きます。多くの場合、値引き交渉がセットです。

即答する必要はありません。判断の軸は2つです。

  • 現在の反響状況(他に内覧予定があるなら急いで応じない)
  • 売り出しからの経過期間(3ヶ月を超えているなら現実的な着地点を探る)

ステップ6: 売買契約を結ぶ

条件がまとまったら売買契約です。契約日には、宅地建物取引士による重要事項説明、契約書への署名捺印、手付金(売買価格の5〜10%程度が一般的)の受領が行われます。

不動産会社への仲介手数料(多くは半金)を支払うのもこのタイミングです。仲介手数料の上限は宅地建物取引業法第46条に基づく国土交通省告示で決まっており、売買価格が400万円を超える場合は「売買価格×3%+6万円+消費税」が上限です(出典: e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」第46条)。

契約後のキャンセルは手付金の放棄(買主側)・倍返し(売主側)を伴います。気になる条件は、契約前の段階ですべて洗い出しておいてください。

ステップ7: 決済・引き渡し

契約から1〜2ヶ月後、買主の住宅ローン審査が通ったら決済です。当日は銀行等に売主・買主・不動産会社・司法書士が集まり、残代金の受領、所有権移転登記の申請、鍵の引き渡しを同日に行います。

住宅ローンが残っている場合は、受領した売却代金で完済し、抵当権抹消登記を行います(司法書士が代行するのが通常です)。

売却後: 確定申告を忘れずに

売却で利益(譲渡所得)が出た場合、売却した翌年の2月16日〜3月15日に確定申告が必要です。

マイホームの売却なら、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例(居住用財産の3,000万円特別控除)が使える場合があり、多くのケースで税金がかからなくなります。ただし、この特例は確定申告をして初めて適用されます。「利益が出たのに申告しない」はもちろん、「特例で税額ゼロになるから申告しない」も誤りです。

出典: 国税庁 タックスアンサー No.3302「マイホームを売ったときの特例」

まとめ|最初の一歩は「相場を知って、複数社を比較する」

売却の成否は、実は最初の2ステップでほぼ決まります。相場を知らずに1社の言い値で進めるのが、最も典型的な失敗パターンだからです。

  • 公的データで相場の幅をつかむ
  • 複数の不動産会社の査定額と根拠を比較する
  • 媒介契約の種類を理解して、会社の動きをチェックする

エリアごとの相場データは、当サイトの市区町村別の相場ページで公的データをもとに公開しています。あわせて活用してください。


※ 本記事は国土交通省・国税庁の公開情報をもとに作成しています。税務の個別判断は税務署または税理士に、法務は司法書士にご確認ください。

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