副業として安定した収入を得たい、将来は不労所得で生活したい、そんな願いを持つ会社員が増えています。その選択肢の一つとして注目を集めているのが民泊経営です。しかし、初期投資の金額や運営方法、法規制など、不安要素も少なくありません。

この記事では、実際の運営データや市場動向を基に、民泊副業の具体的なメリットやデメリット、成功のために必要な知識を詳しく解説します。

民泊経営が資産運用に向いている理由は?

運用

不動産投資の選択肢として、民泊経営は高い収益性と将来性を備えた資産運用方法です。従来の賃貸物件と比較して、柔軟な価格設定や運営方法の工夫により、より高い収益を目指すことができます。

また、インバウンド需要の増加に伴い、観光客向けの宿泊施設としての需要も拡大しています。民泊経営の資産運用としての具体的な魅力について、詳しく解説します。

不動産価値上昇で将来の売却益も狙える

不動産価値の上昇による売却益は、民泊経営における重要な収益源の一つです。特に東京や大阪などの大都市圏では、再開発や交通インフラの整備により地価が上昇傾向にあります。東京23区の地価は過去5年間で平均20%以上上昇しており、将来の売却時には大きな利益が期待できます。

物件を適切に管理・メンテナンスすることで、資産価値の維持・向上も可能です。具体的には、定期的な設備の更新や内装のリフォームにより、物件の価値を保ちながら、宿泊者からの高評価も獲得できます。実際に、内装にこだわった民泊物件は、通常の賃貸物件と比較して10〜15%程度高い売却価格での取引実績があります。

築古物件であっても、民泊用にリノベーションすることで、物件価値を大きく向上させることができます。特に、デザイン性の高い内装や、最新の設備を導入することで、物件の魅力度が増し、将来の売却時により高い価格での取引が期待できます。
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毎月の家賃収入より高い利回りが期待できる

通常の賃貸物件と比較して、民泊は高い収益性が見込めます。一般的な賃貸物件の利回りが3〜4%程度なのに対し、民泊の場合は立地や運営方法によって8〜12%の利回りも実現可能です。

東京都心部では、1泊あたり10,000円〜15,000円の料金設定が一般的で、稼働率60%を達成すれば月額収入は18万円〜27万円に達します。これは、同等の物件を通常の賃貸として運用した場合の家賃収入(8万円〜12万円程度)と比較して、1.5倍から2倍以上の収入となります。

季節や曜日による需要の変動に合わせて柔軟な料金設定が可能なため、繁忙期には通常より高い宿泊料金を設定することで、収益を最大化することができます。特に、大型イベントや観光シーズンには、通常の1.5〜2倍の料金設定も可能です。
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インバウンド需要で安定した集客が見込める

日本政府は2030年に訪日外国人旅行者数6,000万人を目標に掲げています。この目標に向けた施策により、インバウンド需要は今後も安定的な成長が見込めます。実際に、観光庁の統計によると、訪日外国人の宿泊需要は年々増加傾向にあり、特に都市部では慢性的な宿泊施設不足が発生しています。

都市部のホテルは、平均稼働率が80%を超える状況が続いており、代替宿泊施設としての民泊への需要は増加の一途を辿っています。特に、観光地や主要駅周辺の物件は、年間を通じて安定した予約が見込めます。

外国人観光客は、日本の文化や生活様式を体験できる民泊を好む傾向があります。特に、和室や日本的な内装を取り入れた物件は、高い評価を得やすく、リピーター獲得にもつながります。口コミサイトでの高評価は、新規予約の獲得にも効果的で、持続的な集客につながります。

民泊を副業で始めるメリットとは?

民泊経営は、本業の収入に加えて安定的な副収入を得られる魅力的な副業です。物件の運営方法や集客の工夫次第で、効率的な収益獲得が可能です。また、時間的な制約がある会社員でも、適切なシステムを活用することで無理なく運営できます。

それでは、民泊副業の具体的なメリットについて詳しく解説します。

働かなくても毎月の収入が得ることができる

民泊経営の最大の魅力は、定期的な収入が期待できる点です。物件の運営が軌道に乗れば、予約の管理や清掃などの基本的な業務以外の労力をかけずに、毎月の収入を得ることができます。都心部の1Kタイプの物件では、月額15万円から20万円程度の収入が見込めます。

また、季節や曜日による需要の変動に合わせて宿泊料金を調整することで、収益を最大化することも可能です。特に年末年始やゴールデンウィークなどの長期休暇期間は、通常の1.5倍から2倍の料金設定が可能で、より高い収入を期待できます。

運営が安定してくると、複数物件の展開も視野に入れることができ、収入のスケールアップも可能になります。実際に、1物件での成功体験を活かして、2件目、3件目と物件数を増やしていく方も少なくありません。
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初期投資以外の追加コストが少なく済む

民泊運営における主なランニングコストは、清掃費用や消耗品の補充など、必要最低限の維持費用だけです。一般的な物件では、月額3万円から5万円程度の運営費用で済みます。これは、飲食店やその他の実店舗型ビジネスと比較すると、非常に少額な運営コストと言えます。

また、近年では清掃やメンテナンスを一括して請け負う業者も増えており、これらのサービスを活用することで、予測可能な費用計画を立てることができます。さらに、光熱費などの変動費用も、宿泊料金に含める形で設定することで、安定した収益計画を立てることが可能です。

特別な資格や経験がなくても始められる

民泊経営を始めるために必要な法的要件は、住宅宿泊事業法に基づく届出のみです。届出手続きは比較的シンプルで、特別な資格や専門知識は必要ありません。また、物件の所有者でなくても、オーナーの許可を得れば賃貸物件での民泊運営も可能です。

運営のノウハウは、インターネット上の情報や先行オーナーの経験談から学ぶことができます。また、運営代行サービスを利用することで、経験がなくても安心して始められます。実際に、多くの民泊オーナーは、不動産投資の経験がないところからスタートしています。
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本業と両立しやすい運営システムがある

現代の民泊運営では、スマートロックやAIを活用した予約管理システムにより、物理的な作業を最小限に抑えることができます。スマートフォンひとつで、予約の受付から鍵の受け渡し、チェックインまでの一連の作業を自動化することが可能です。

清掃やメンテナンスは、専門業者に委託することで、本業の時間を圧迫することなく運営できます。また、緊急時の対応もコールセンターサービスを活用することで、24時間365日の対応が可能になります。これにより、本業に集中しながら、効率的な運営を実現できます。

外国人との交流で語学力が身につく

海外からの宿泊客との交流は、実践的な語学力向上の機会となります。メッセージでのやり取りや、対面でのコミュニケーションを通じて、自然な形で語学スキルを磨くことができます。特に、観光情報の提供や地域の案内を通じて、ビジネスに直結する実用的な英語力を習得できます。

また、異文化交流を通じて、グローバルな視点や考え方を身につけることも可能です。これらの経験は、本業でのキャリアアップにも活かすことができ、副業としての金銭的なメリット以外の価値も得られます。実際に、民泊運営を通じて語学力を向上させ、本業での海外取引担当になった事例も報告されています。

民泊を副業で始めるデメリットは?

民泊経営には魅力的なメリットがある一方で、事前に理解しておくべき課題やリスクも存在します。特に副業として始める場合は、本業との両立を考慮しながら、これらの課題に対する備えが必要です。

運営を始める前に、想定されるデメリットについて詳しく確認していきましょう。

近隣住民とのトラブルリスクがある

集合住宅での民泊運営では、近隣住民との関係性が重要な課題となります。特に、深夜の騒音や共用部分の使用方法、ゴミ出しルールなど、生活習慣の違いによるトラブルが発生しやすい傾向にあります。実際に、民泊物件では年間平均2〜3件の苦情が報告されています。

トラブルを未然に防ぐためには、宿泊者向けの詳細なハウスルールの作成や、防音対策の実施が必要です。また、管理組合や自治会への事前説明と定期的なコミュニケーションも欠かせません。これらの対応には、時間と労力が必要となり、特に本業との両立では大きな負担となる可能性があります。
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法規制の変更で経営に影響が出る可能性

民泊に関する法規制は、社会情勢や地域の実情に応じて変更される可能性があります。住宅宿泊事業法では、年間営業日数の制限や地域による独自規制が設けられており、これらの変更により収益計画の見直しが必要になることがあります。

また、衛生管理や防火設備など、安全面での規制強化も予想されます。これらの法規制に対応するための追加投資や、運営方法の変更が必要になる場合もあります。特に、条例による規制は地域ごとに異なるため、常に最新の法令情報をチェックし、迅速な対応が求められます。

まとまった初期投資資金が必要になる

民泊を始めるためには、物件の購入やリノベーション費用など、相当額の初期投資が必要です。都心部の物件では、購入費用だけで2,000万円から3,000万円程度、内装工事や設備投資に500万円から1,000万円程度の資金が必要となります。

また、運営開始後も、家具や備品の購入、スマートロックの設置、予約管理システムの導入など、様々な初期コストが発生します。賃貸物件での運営でも、保証金や敷金に加えて、これらの初期投資は避けられません。投資回収には一定期間を要するため、資金計画は慎重に検討する必要があります。

季節による収益の変動が大きい

民泊の稼働率は、季節や曜日により大きく変動します。一般的に、夏季やゴールデンウィークなどの観光シーズンは高稼働が期待できますが、オフシーズンは稼働率が30%程度まで低下することもあります。この収益の変動は、安定した収入を求める副業としては大きな課題となります。

特に、固定費(家賃、ローン返済など)は季節に関係なく発生するため、オフシーズンの収益低下は経営を圧迫する要因となります。年間を通じた収支計画では、この季節変動を考慮した余裕のある資金計画が必要です。

予期せぬトラブル対応が必要になる

宿泊者とのトラブルや設備の故障など、予期せぬ事態への対応が必要になることがあります。特に、深夜の緊急連絡や急なキャンセル対応など、時間を選ばない対応が求められるケースも少なくありません。本業がある中での対応は、心身ともに大きな負担となる可能性があります。

また、台風や地震などの自然災害時には、宿泊者の安全確保や避難誘導など、オーナーとしての責任ある対応が必要です。これらの対応を運営代行サービスに委託する場合でも、追加コストが発生するため、収益計画に影響を与える要因となります。

民泊副業の成功に必要な物件選びのコツは?

売却

民泊経営の収益性は、物件選びによって大きく左右されます。特に副業として始める場合、効率的な運営と安定した収益を実現するために、物件選びは極めて重要な要素となります。

リスクを最小限に抑えながら、収益を最大化するための物件選びのポイントについて、詳しく解説していきます。

アクセスの良さを重視する

宿泊施設として成功するためには、交通アクセスの利便性が重要な判断基準となります。最寄り駅から徒歩10分以内の物件は、特に外国人観光客からの予約が入りやすい傾向にあります。実際の稼働データによると、駅近物件は駅から離れた物件と比較して、平均稼働率が15〜20%高くなっています。

また、空港や主要観光地へのアクセスの良さも、重要な選定基準です。特に、リムジンバスや電車の直通アクセスがある地域は、観光客の利便性が高く評価されます。繁華街や観光名所が徒歩圏内にある物件は、宿泊者からの評価も高く、リピーターを獲得しやすい特徴があります。

コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの生活利便施設が近くにある物件も、宿泊者の満足度向上につながります。これらの条件が揃った物件は、初期投資額は高くなる傾向にありますが、長期的な運営を考えると投資効果は十分に見込めます。

地域の民泊規制を事前に確認する

各自治体には独自の民泊規制があり、営業日数の制限や運営方法に関する細かな規則が設けられています。例えば、住居専用地域では年間営業日数が制限される場合や、マンションの管理規約で民泊が禁止されているケースもあります。

物件選定の際には、該当地域の条例や規制内容を事前に確認することが不可欠です。特に、新築マンションでは管理組合による民泊禁止の規約が設けられることが増えています。また、学校や病院の周辺では、営業が制限される可能性もあるため、慎重な確認が必要です。

競合施設の稼働率をしっかり調査する

物件周辺の宿泊施設の状況は、将来の収益性を判断する重要な指標となります。民泊予約サイトで類似物件の予約状況や料金設定を調査し、市場の需要と供給バランスを把握することが重要です。周辺のホテルの稼働率が80%を超える地域は、民泊需要も期待できます。

また、競合物件のレビューやコメントを分析することで、宿泊者のニーズや不満点を把握することができます。これらの情報は、自身の物件の差別化ポイントを考える上で貴重な参考データとなります。特に、リピーター獲得に成功している物件の特徴を研究することで、成功の要因を見出すことができます。

物件の規模と投資額のバランスを見る

投資効率を最大化するためには、物件の規模と投資額のバランスが重要です。一般的に、都心部の1Kや1LDKタイプの物件は、清掃や管理が比較的容易で、投資額に対する収益性も高い傾向にあります。実際の運営データでは、25㎡前後の物件が最も投資効率が良いとされています。

また、築年数の古い物件をリノベーションして活用する方法も、初期投資を抑える有効な選択肢です。ただし、配管や電気設備など、将来的な修繕費用が発生するリスクも考慮に入れる必要があります。投資回収期間を3〜5年程度に設定し、その間の収支計画を綿密に立てることが成功への近道となります。

民泊運営で楽して稼ぐためには?

売却 コツ

民泊経営を効率的に行うためには、運営システムの構築と適切な業務の委託が重要です。本業を持ちながら民泊を運営する場合、全ての業務を自身で行うことは現実的ではありません。

効率的な運営方法を確立し、できるだけ自動化やアウトソーシングを活用することで、労力を最小限に抑えながら安定した収益を得ることができます。

集客力を高めるための物件にする

持続的な収益を確保するためには、物件の競争力を高めることが不可欠です。まず、内装デザインについては、写真映えする空間作りを心がけます。実際の運営データによると、SNS映えする内装の物件は、予約率が通常の1.5倍以上高くなる傾向があります。

差別化のポイントとして、テーマ性のある内装や、地域特性を活かした和モダンなデザインが効果的です。特に外国人観光客向けには、畳スペースや障子など、日本らしさを演出する要素を取り入れることで、高い評価を得られます。実際に、和風テイストを取り入れた物件は、平均宿泊単価を20%程度高く設定できています。

また、快適な滞在のための設備投資も重要です。高速Wi-Fi、充実したアメニティ、キッチン用品の完備など、宿泊者のニーズに応える設備を整えることで、高評価とリピーター獲得につながります。特に、ワーケーション需要に対応した快適な作業環境の整備は、長期滞在者の獲得に効果的です。

運営代行会社を活用する

運営の効率化には、信頼できる運営代行会社の活用が有効です。運営代行会社は、予約管理から清掃、緊急対応まで、運営に関わる様々な業務を一括して請け負います。実績のある運営代行会社を選定することで、品質の高いサービスを安定的に提供することができます。

運営代行会社の選定では、以下の点を重視する必要があります。まず、対応可能な言語数と24時間対応の有無を確認します。特に、外国人観光客の対応には、多言語対応が可能な運営代行会社が望ましいです。また、清掃品質の管理体制や、緊急時の対応フローについても、詳細な確認が必要です。

料金体系は、固定費と変動費のバランスを考慮します。一般的な運営代行料は、売上の15〜20%程度が相場となっています。ただし、サービス内容や地域によって料金は大きく異なるため、複数社の見積もりを比較検討することをお勧めします。特に、清掃費用や消耗品の補充など、付随するコストについても事前に確認が必要です。

また、運営代行会社の実績やレビューも重要な判断材料となります。運営実績のある物件数や、トラブル対応の事例なども確認しましょう。可能であれば、実際に運営を委託している物件オーナーの評価も参考にすることをお勧めします。信頼できる運営代行会社を選定することで、本業に専念しながら、効率的な民泊運営を実現することができます。
関連:【手間をかけずに運営ができる】民泊運営代行サービスとは?使用するメリット、デメリットなどを解説

まとめ

民泊経営は、適切な物件選びと効率的な運営システムの構築により、本業と両立しながら安定した副収入を得られる可能性のある投資方法です。不動産価値の上昇による資産形成や、インバウンド需要を活用した高収益が期待できる一方で、法規制やトラブル対応など、考慮すべきリスクも存在します。

成功の鍵は、立地条件や市場分析に基づく慎重な物件選定と、運営代行会社の活用による効率的な運営体制の確立にあります。初期投資や運営方法を十分に検討し、長期的な視点で取り組むことで、副業としての民泊経営を成功に導くことができます。

参考

観光庁 令和4年3月 これまでの議論の経過について