不動産投資の新たな選択肢として注目を集めているリゾートマンション民泊投資。コロナ禍からのインバウンド需要回復に伴い、多くの投資家が収益化の可能性を探っています。しかし、実際の運営には様々な課題があり、収支計画や物件選びに悩む声も多く聞かれます。

この記事では、リゾートマンション民泊投資の仕組みから、具体的な収益シミュレーション、成功のための物件選定まで、実践的なノウハウを詳しく解説します。

リゾートマンション民泊投資とは?

不動産投資の新たな形として注目を集めているリゾートマンション民泊投資は、観光地に位置するマンションを活用し、宿泊施設として運営することで収益を得る投資手法です。

それでは、具体的な収益の仕組みや季節需要について詳しく見ていきましょう。
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季節需要と収益の関係

リゾートマンションの収益は、観光シーズンによって大きく変動する特徴があります。スキーリゾートの場合、12月から3月にかけての冬季は宿泊需要が急増し、1泊あたりの単価も上昇します。一方で、グリーンシーズンは需要が低下する傾向にあるため、年間を通じた収支計画の策定が必要不可欠です。

夏季の海辺のリゾート地では、7月から8月の繁忙期に稼働率が90%を超える物件も存在します。ただし、オフシーズンの需要対策として、ワーケーション利用の促進やロングステイプランの提供など、柔軟な運営戦略が求められます。

また、インバウンド需要の回復に伴い、春季の桜シーズンや秋季の紅葉シーズンにも安定した集客が見込めます。外国人観光客は日本人とは異なる旅行パターンを持つため、シーズンを問わず一定の需要を確保できる可能性があります。

民泊運営による収益化のしくみ

リゾートマンション民泊の収益は、宿泊料金から運営経費を差し引いた金額となります。宿泊料金は立地や設備、サービス内容によって決定され、繁忙期には通常期の2倍以上の単価設定が可能です。

運営形態には、所有者自身が運営を行う自主運営型と、専門業者に委託する運営代行型があります。自主運営型は利益率が高い半面、予約管理や清掃など、運営実務の負担が大きくなります。運営代行型は手数料として売上の20〜30%程度が必要になりますが、運営の手間を最小限に抑えることができます。

収益を最大化するには、適切な価格設定と在庫管理が重要です。需要予測に基づいた変動価格制の導入や、複数の予約サイトへの掲載により、稼働率の向上を図ることができます。また、リピーター獲得に向けた独自サービスの提供も、安定した収益確保につながります。

リゾートマンション投資で民泊は儲かるの?

リゾートマンション民泊投資の収益性は、物件の立地や運営方法によって大きく異なります。都心から2時間以内の人気リゾートエリアでは、年間利回り8〜12%の実績を持つ物件も存在します。

リゾートマンション民泊の具体的な収支と投資回収期間について詳しく解説します。

具体的な収支シミュレーション

リゾートマンション民泊の収支は、立地条件や運営形態により変動します。北海道ニセコエリアの物件における実例を基に、収支シミュレーションを示します。

物件価格3,000万円のリゾートマンション(35㎡)の場合、年間の収入は以下のような構成になります。繁忙期(12月〜3月)は1泊35,000円で稼働率80%、通常期は1泊20,000円で稼働率50%とした場合、年間売上は約850万円になります。

一方、支出については、固定費として管理費・修繕積立金が月額35,000円、変動費として清掃費用が1回あたり8,000円、光熱費が月額平均25,000円発生します。運営代行会社への手数料として売上の25%を見込むと、年間の経費総額は約380万円となります。

この場合、年間収支は470万円のプラスとなり、投資利回りは約15.7%と試算されます。ただし、これは好条件が揃った場合の例であり、立地や運営力によって収支は大きく変動する点に注意が必要です。

投資回収期間の計算方法

投資回収期間の算出には、初期投資額と年間キャッシュフローに加え、将来の価値変動も考慮する必要があります。基本的な計算式は以下の通りです。

初期費用として、物件価格3,000万円に加え、諸経費として300万円、内装工事費用200万円を見込みます。年間キャッシュフロー470万円の場合、単純計算では7.4年で投資回収が可能です。

ただし、リゾートマンションは経年による資産価値の低下が一般的です。年間2%の価値減少を見込んだ場合、10年後の物件価値は約2,450万円となります。このため、投資回収期間の計算には、将来の売却を見据えた出口戦略も含めた総合的な検討が必要です。

不動産価値の維持向上策として、定期的な設備更新や共用部分の改修なども重要な検討要素です。投資回収期間を短縮するには、施設グレードの向上による宿泊単価の引き上げや、運営効率化によるコスト削減など、積極的な収益改善施策の実施が効果的です。
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リゾートマンションを民泊として運営するメリットは?

メリット

リゾートマンション民泊運営には、収益性向上と資産価値の維持という大きな利点があります。従来の賃貸運用と比較して柔軟な活用が可能なため、オーナーにとって多様なメリットが生まれます。

具体的なメリットについて詳しく解説します。

空室活用で維持費をカバーできる

リゾートマンションの所有には、管理費や修繕積立金など固定的な支出が発生します。一般的なリゾートマンションの場合、月額5〜8万円程度の維持費負担がありますが、民泊運営により効果的に回収できます。

休日2日間の民泊利用だけでも、月額の維持費を十分にカバーできる収入が見込めます。実際の運営事例では、月4日程度の稼働で年間の固定費を回収している物件も存在します。また、光熱費などの変動費についても、宿泊料金に適切に上乗せすることで、実質的な負担をゼロに抑えることができます。

物件の付加価値を高めることができる

民泊運営を見据えた改装やリノベーションにより、物件の資産価値を向上させることができます。宿泊施設としての機能性を高めることで、一般的な居住用マンションとは異なる魅力を創出できます。

高級ホテルライクな内装や、最新の家電設備の導入により、宿泊単価の引き上げが可能になります。実際に、500万円程度の改装投資により、宿泊単価を50%以上上昇させた事例もあります。また、定期的な設備更新により、物件の経年劣化を最小限に抑える効果も期待できます。

長期滞在利用の需要も狙える

テレワークの普及により、リゾート地での長期滞在ニーズが増加しています。1週間から1ヶ月程度の長期利用では、通常の宿泊施設と比較して大きな価格優位性を持つことができます。

ワーケーション需要に対応するため、高速Wi-Fi環境やワークスペースを整備することで、平日の稼働率向上が見込めます。また、長期滞在者向けに洗濯機や調理設備を充実させることで、一般の宿泊施設との差別化が図れます。

自己使用との両立が可能

民泊運営の大きな特徴は、オーナー自身による利用と収益獲得の両立が可能な点です。予約カレンダーでブロックを設定することで、繁忙期の自己使用も自由に行えます。

年末年始やゴールデンウィークなど、宿泊需要の高いシーズンでも、オーナー優先で利用することができます。また、友人や家族との利用時には、通常の宿泊施設とは異なる快適性を実感できます。自己使用期間以外を民泊として運営することで、効率的な資産活用が実現できます。

リゾートマンションを民泊として運営するデメリットは?

デメリット

リゾートマンション民泊運営には、収益機会と同時に運営上の課題も存在します。物件の維持管理や近隣トラブル、セキュリティ面での対応など、様々なリスク要因について理解しておく必要があります。

以下では、具体的なデメリットと対応策について説明します。

物件の老朽化リスクに備える

リゾートマンションは一般の居住用マンションと比較して、劣化のスピードが速い傾向にあります。頻繁な利用者の入れ替わりにより、設備への負荷が大きくなるためです。特に給湯器や空調設備は、使用頻度が高くなることで耐用年数が短くなります。

定期的な修繕費用として、年間売上の15〜20%程度を見込む必要があります。築15年を超える物件では、大規模修繕に備えて、より多くの修繕積立金が必要になります。また、突発的な設備トラブルに対応するため、予備費として最低100万円程度の資金確保が推奨されます。

周辺住民とのトラブル問題が起こる可能性も

民泊利用者による騒音や生活マナーの問題は、近隣住民との関係悪化につながる可能性があります。特に深夜の話し声やドアの開閉音、ゴミ出しルールの違反などが、トラブルの原因となります。

対策として、ハウスルールの徹底的な説明と、防音性能の高い設備への投資が必要です。宿泊者への注意事項は、多言語での表記や、イラストを用いた分かりやすい表示が効果的です。また、定期的な住民説明会の開催や、クレーム発生時の迅速な対応体制の構築も重要です。

セキュリティ確保が必要

不特定多数の利用者が出入りする民泊では、セキュリティ管理が重要な課題となります。鍵の受け渡しや紛失リスク、防犯カメラの設置など、安全確保のための投資が必要不可欠です。

スマートロックの導入には、初期費用として10万円程度の投資が必要ですが、遠隔での鍵の受け渡しや、入退室記録の管理が可能になります。防犯カメラについては、プライバシーに配慮しつつ、共用部分の死角をカバーする設置が推奨されます。

また、貴重品の盗難や器物損壊に備えて、民泊保険への加入も必要です。年間保険料は10〜15万円程度ですが、トラブル発生時の補償や賠償責任への備えとして重要な投資となります。

リゾートマンションの民泊運営で成功するための物件選びのポイントは?

民泊運営の成否は、物件選定の段階で大きく左右されます。立地や建物のグレード、運営のしやすさなど、複数の観点から慎重に物件を吟味する必要があります。

物件選びで重視すべきポイントについて、具体的に解説します。

アクセス重視は外さない

利用者の利便性を考慮すると、交通アクセスは物件選定における最重要項目です。新幹線駅や空港からのアクセスが1時間以内の物件は、国内外の観光客から高い需要が見込めます。特に、富士山周辺や北海道ニセコエリアなど、観光資源へのアクセスが良好な立地では、年間を通じた安定した集客が期待できます。

都心部からの直行バスが運行されているエリアも魅力的です。スキー場や温泉地へのダイレクトアクセスは、シーズン中の稼働率向上に直結します。一方で、最寄り駅からタクシーでしかアクセスできない物件は、利用者の満足度低下につながる可能性があります。

共用施設の充実度を要確認

温泉やプールなどの共用施設は、宿泊料金の上乗せを可能にする重要な付加価値となります。特に天然温泉の有無は、稼働率と単価に大きな影響を与えます。実際の運営データでは、温泉付きリゾートマンションは、類似物件と比較して20〜30%高い宿泊単価を実現しています。

スキーシーズンには、スキー乾燥室や手ぶらサービスなどの付帯設備も重要な選定ポイントです。また、フィットネスジムやラウンジスペースなど、長期滞在者向けの施設も、物件の競争力を高める要素となります。

運営代行を使用する

運営ノウハウの不足は、収益性に大きく影響します。信頼できる運営代行会社の存在は、物件選定における重要な判断材料です。実績のある運営代行会社は、予約管理から清掃、トラブル対応まで、一貫したサービスを提供します。

運営代行会社の選定では、対応言語数や24時間サポート体制の有無、口コミ評価の状況などを総合的に判断します。手数料率は売上の20〜30%が一般的ですが、高稼働率の実現により、最終的な収益は自主運営を上回るケースも多く見られます。
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売却しやすさも視野に入れる

将来の出口戦略を考慮すると、売却のしやすさも重要な選定基準です。築年数が浅く、大手デベロッパーが手掛けた物件は、流動性が高い傾向にあります。また、管理組合の財務状況が健全で、大規模修繕計画が適切に実施されている物件は、将来的な売却においても有利です。

一方で、築年数が20年を超える物件や、管理状態が悪化している物件は、売却時の価格下落リスクが高くなります。投資回収を確実にするためには、物件の資産価値を維持できる立地や建物グレードであることを確認する必要があります。
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まとめ

リゾートマンション民泊投資は、適切な物件選定と運営戦略により、年間利回り8〜12%の収益実現が可能です。特に、交通アクセスの良好な観光地では、インバウンド需要の取り込みによる高稼働率が期待できます。一方で、物件の維持管理やセキュリティ対策など、運営上の課題にも注意が必要です。

成功のカギは、立地条件や共用施設の充実度を見極めること、そして信頼できる運営代行会社の活用です。物件の将来的な売却も視野に入れた総合的な投資判断が、長期的な資産価値の維持向上につながります。