民泊経営の収入について、具体的な数字が知りたい方や、初期費用の相場が分からず悩んでいる方は多いのではないでしょうか。物件タイプや立地、運営方法によって収益は大きく変わるため、適切な判断材料が必要です。

この記事では、民泊経営の年収から初期投資、運営戦略まで、成功に必要な要素を詳しく解説します。

副業として民泊経営を検討している方や、不動産投資の新たな選択肢をお探しの方にとってぴったりな内容となっています。ぜひ最後までご覧になってください。
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民泊経営の平均年収はどのくらい?

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民泊経営の収益性について、実際のデータに基づいた具体的な数値をご紹介します。収益は物件の規模や立地、運営方法によって大きく変わるため、それぞれの要因を踏まえながら見ていきましょう。

民泊経営の一般的な年収の目安

民泊経営における年間収益は、物件1室あたり平均で450万円から470万円の売上を見込むことができます。

ただし、この金額から運営にかかる経費を差し引く必要があります。具体的な経費として、清掃費用が1回あたり4,000円、光熱費が月額15,000円、インターネット料金が月額5,000円、消耗品費が月額10,000円程度発生します。また、物件の賃借料として月額10万円前後を見込む必要があります。

複数室を運営する場合、スケールメリットにより1室あたりの経費を抑えることが可能です。
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物件タイプ別の収益シミュレーション

民泊経営における収益は、物件タイプによって大きく異なります。住宅宿泊事業法(民泊新法)による年間営業日数の制限は180日となりますが、国家戦略特区に指定された区域では年間を通じた営業が可能です。

それでは、各物件タイプの特徴と収益性について詳しく見ていきましょう。

戸建て民泊

戸建て民泊の場合、既存住宅をリフォームして運用するケースが一般的です。リフォーム費用は平均して1,000万円から1,500万円程度必要となります。内訳として、内装工事が600万円、設備工事が400万円、外構工事が200万円程度です。

投資回収期間は、立地条件と稼働率によって4年から6年が目安となります。国家戦略特区の場合、年間稼働日数の制限がないため、稼働率80%で運用すると、月額収入は65万円程度となり、年間で780万円の売上を見込むことができます。一方、180日制限がある地域では、年間売上は約390万円となります。

マンション民泊

マンション民泊の場合、物件購入費用として3,000万円から5,000万円、内装工事費用として300万円から500万円が必要です。都心部の場合、1泊あたりの単価を25,000円に設定すると、稼働率70%で月額収入52万円、年間で624万円の売上が見込めます。

投資利回りは、180日制限のある地域で5%から7%、特区民泊では8%から10%程度となります。ただし、管理規約で民泊が禁止されているマンションも多いため、物件選定には注意が必要です。

アパート一棟貸し

アパート一棟を民泊として運営する場合、1棟あたり5,000万円から8,000万円の購入費用と、1,000万円から1,500万円の改装費用が発生します。10室規模の物件で、1室あたり1泊15,000円、稼働率65%の場合、月額収入は約290万円となります。

特区民泊の場合、年間収入は約3,480万円となり、経費を差し引いた純利益は約1,700万円程度になります。一方、180日制限がある地域では、年間収入は約1,740万円、純利益は約850万円程度となります。

物件規模による収益の違い

物件規模が大きくなるほど、1室あたりの運営コストを抑えることが可能です。例えば、清掃スタッフの効率的な配置により、1室あたりの清掃費用を通常の4,000円から3,000円に抑えることができます。

複数室運営の場合、予約システムの一括管理や備品の共有化により、運営効率が向上します。5室以上の運営では、専属スタッフの雇用も可能となり、サービス品質の向上にもつながります。ただし、規模が大きくなるほど、入居者とのトラブル対応や近隣住民への配慮など、管理面での負担も増加する点に注意が必要です。

立地による収益の違いは?

収益性は立地によって大きく変動します。顧客層やニーズが異なるため、それぞれの特性を理解し、的確な運営戦略を立てることが重要です。各エリアの特徴と収益のポイントについて詳しく解説します。

都心部

都心部における民泊の平均単価は、1泊あたり25,000円から35,000円となります。交通アクセスの良さを活かし、ビジネス需要とレジャー需要の両方を取り込むことが可能です。実際の稼働率は平均80%以上を維持することができ、月額収入は60万円から80万円を見込めます。

特に平日のビジネス需要が安定している点が都心部の強みです。出張者向けに無料Wi-Fiや作業スペースを提供することで、リピーターを獲得できます。また、外国人観光客の需要も高く、多言語対応の案内やサービスを充実させることで、稼働率向上につながります。

観光地

観光地では、ハイシーズンとオフシーズンで稼働率に大きな差が生じます。繁忙期は1泊40,000円以上の単価設定が可能で、稼働率も90%を超えます。一方、閑散期は単価を15,000円程度まで下げる必要があり、稼働率も30%程度まで低下することがあります。

インバウンド需要の取り込みには、英語・中国語・韓国語での情報発信が効果的です。地域の観光資源と連携したプランの提供や、体験型コンテンツの充実により、付加価値を高めることができます。

地方都市での差別化戦略

地方都市では、1泊12,000円から15,000円程度の単価設定が一般的です。稼働率は平均50%前後となりますが、差別化戦略により収益性を高めることが可能です。例えば、ビジネス客向けに月額定額プランを提供することで、安定した収入を確保できます。

また、地域特有のニーズに対応することで競争優位性を確保できます。工業団地や大学付近では、長期滞在者向けの割引プランが効果的です。

民泊経営の初期費用とコストを知ろう

民泊経営を始めるにあたり、適切な初期投資とランニングコストの把握は事業の成否を左右する重要な要素です。物件の取得から設備の整備、運営費用まで、実際の数字を基に詳しく解説します。
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必要な初期投資の具体的内訳

物件取得にかかる費用は、立地や規模により大きく異なります。都心部のマンション1室の場合、物件購入費用として3,500万円以上の金額が必要です。

内装工事費用は、一般的な1室の場合、350万円から450万円が目安となります。内訳として、クロス張替えが45万円、フローリング工事が60万円、キッチン改修が80万円、バス・トイレの改修が120万円、照明設備が30万円程度です。

設備・備品費用として、200万円から250万円が必要です。エアコンの設置が30万円、家具・家電の購入が150万円、Wi-Fi環境の整備が10万円、防犯カメラの設置が15万円などが含まれます。スマートロックなどのIoT機器の導入により、運営の効率化が図れます。

月次ランニングコストの詳細

固定費として、物件を借り上げて運営する場合、月額賃料が15万円から20万円、管理費が1万5,000円程度発生します。また、火災保険料が年間5万円、設備保証サービス料が月額5,000円必要です。

光熱費は、1室あたり月額2万円から2万5,000円が目安です。内訳は、電気代が1万2,000円、ガス代が6,000円、水道代が5,000円程度となります。インターネット料金は月額5,000円から6,000円です。

予約管理システムの利用料は、月額1万円から1万5,000円かかります。また、決済手数料として売上の3%から5%が発生します。広告宣伝費は、月額5万円程度を見込む必要があります。

清掃費用と管理費の相場

清掃費用は、1室1回あたり4,000円から5,000円が標準的な相場です。これには、リネン類の交換、室内清掃、消耗品の補充が含まれます。稼働率70%の場合、月間の清掃費用は8万円から10万円程度となります。

管理委託費用は、売上の15%から20%が一般的です。管理会社に委託する場合、予約管理、ゲスト対応、清掃スタッフの手配など、運営全般を任せることができます。トラブル対応や深夜の緊急連絡にも対応するため、安定した運営が可能になります。

消耗品費は月額1万5,000円程度必要です。タオル類は3か月ごとの交換を想定し、シーツや枕カバーなどのリネン類は年2回の買い替えが必要です。アメニティ類は、1泊あたり500円程度の費用がかかります。

民泊経営の運営形態による収益の違い

民泊経営の収益性は、運営形態の選択によって大きく変わります。自主運営、運営委託、ハイブリッド運営それぞれのメリットとデメリットを理解し、物件規模や運営方針に合わせた最適な形態を選択することが重要です。それぞれの特徴と収益構造について詳しく解説します。

自主運営

自主運営の場合、売上から運営コストを差し引いた利益を全て確保することができます。1室あたりの月間売上が45万円の場合、運営コストとして清掃費用8万円、光熱費2万円、消耗品費1万5,000円などを差し引いた、月額30万円程度の純利益を見込むことができます。

ただし、予約管理から清掃手配、ゲスト対応まで全ての業務を自身で行う必要があります。特に深夜のチェックインや緊急対応には常時待機が必要となり、人的負担が大きくなります。また、集客のためのプロモーション活動や価格設定なども自身で判断する必要があります。

運営ノウハウの蓄積により、サービス品質の向上や運営効率の改善が可能です。例えば、リピーター獲得のための独自サービスの提供や、効率的な清掃体制の構築により、収益性を高めることができます。

運営委託

運営会社への委託の場合、売上の15%から20%が手数料として発生します。月間売上45万円の場合、手数料として7万円から9万円が必要となりますが、運営の手間や時間的制約から解放されます。

運営委託のメリットとして、24時間対応可能な予約管理システムの利用や、専門スタッフによる高品質な清掃サービスの提供があります。また、複数の予約サイトへの一括掲載や、多言語対応なども委託会社が対応します。

経験豊富な運営会社は、需要予測に基づいた適切な価格設定や、効果的なプロモーション戦略を提供します。これにより、稼働率の向上や単価の最適化が期待できます。
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ハイブリッド運営

ハイブリッド運営では、予約管理や清掃業務など、特定の業務のみを外部委託します。例えば、清掃業務のみを委託する場合、1室1回あたり4,000円の清掃費用と、月額3万円程度のシステム利用料で運営が可能です。

部分委託により、コストを抑えながら運営の効率化を図ることができます。予約管理システムの利用により、24時間の予約受付が可能となり、清掃業務の委託により品質の安定化が図れます。また、緊急対応のみを委託することで、深夜対応の負担を軽減することもできます。

収益面では、完全委託と比べて手数料負担が抑えられ、自主運営と比べて運営負担を軽減できるため、バランスの取れた運営が可能となります。物件規模が拡大した際も、段階的に委託範囲を広げることで、スムーズな運営体制の構築が可能です。

民泊経営で成功するための具体的な戦略とは?

民泊経営の成功には、戦略的な運営と効果的な集客が不可欠です。利用者のニーズを的確に捉え、サービス品質の向上と収益の最大化を図ることが重要となります。

具体的な成功戦略について、実践的なポイントを解説します。


高稼働率を実現する 

予約管理システムの効果的な活用により、年間稼働率80%以上を達成することが可能です。需要予測に基づく動的な価格設定が重要で、繁忙期は通常価格の1.5倍、閑散期は0.7倍程度に価格を調整します。具体的には、平日の基本料金を20,000円とした場合、週末は30,000円、オフシーズンは14,000円といった具合です。

連泊割引の導入も効果的です。3泊以上の予約に対して10%割引、7泊以上で20%割引を適用することで、長期滞在者の獲得が可能となります。また、直前予約の場合は、空室を埋めるため30%までの割引設定も検討します。

チェックイン・チェックアウト時間の柔軟な対応も稼働率向上に貢献します。早朝チェックインや深夜チェックアウトのオプションを有料で提供することで、追加収入も見込めます。

競合との差別化戦略を行う

差別化の核となるのは、独自のサービス提供です。地域の特性を活かした体験プログラムの提供や、ビジネス利用に特化した設備の充実により、競合との明確な違いを打ち出すことができます。

例えば、ビジネス利用者向けには、高速Wi-Fi環境の整備、モバイルプリンターの設置、ワークスペースの確保などが効果的です。これにより、通常の宿泊単価に3,000円から5,000円程度の上乗せが可能となります。

家族連れ向けには、キッチン設備の充実や子供用アメニティの提供、おもちゃの貸出サービスなどが喜ばれます。また、近隣の飲食店や観光施設と提携し、割引特典を提供することで、付加価値を高めることができます。


マーケティング活動を行う

SNSマーケティングでは、Instagram、Facebook、X(旧Twitter)などのプラットフォームで広告を活用します。広告費用は月額5万円程度から開始し、ROIを見ながら調整します。写真や動画を活用した視覚的な訴求が効果的で、実際の宿泊者の体験談や口コミを積極的に活用します。

Airbnbなどの予約サイトでは、検索順位を上げるためのSEO対策が重要です。具体的には、魅力的な写真の掲載、詳細な施設情報の記載、迅速な返信対応などが評価につながります。特に、スーパーホスト認定を取得することで、検索順位が上位に表示される確率が高まります。

また、口コミ評価の向上も重要です。宿泊者からの評価を4.7以上に維持することで、新規予約の獲得確率が大幅に向上します。そのために、清掃品質の徹底管理、迅速なコミュニケーション対応、細やかなサービス提供を心がけます。評価の低い項目については、即座に改善策を講じることが必要です。

まとめ

民泊経営の収益性は、物件選びから運営方法まで、様々な要因が影響します。1室あたり年間450万円から470万円の売上を基準に、物件タイプや立地による収益の違い、必要な初期投資とランニングコスト、そして運営形態の選択について解説しました。

成功の鍵は、的確な市場分析と差別化戦略、そして効果的なマーケティング活動にあります。運営形態は自身の状況に合わせて選択し、サービス品質の向上と効率的な運営体制の構築を目指すことが重要です。

参考

ホームズ 東京都東京23区の中古マンション価格相場情報
DBJ 都市型民泊の現在地と今後の可能性

https://www.dbj.jp/upload/investigate/docs/f82845a89a23531d0a069d629b52f595_1.pdf