不動産投資の新たな選択肢として注目を集める民泊投資。一般的な賃貸物件の利回りが4%から6%程度にとどまる中、民泊投資では15%以上の高い利回りを実現している事例も存在します。インバウンド需要の回復に伴い、より高い投資リターンを求める投資家から関心が高まっています。

本記事では、民泊投資の利回りや収益構造、初期費用から運営ノウハウまで詳しく解説します。
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民泊投資の利回りはどのくらい?

インバウンド需要の回復に伴い、民泊投資への関心が高まっています。一般的な賃貸物件と比較して、民泊投資は高い利回りが期待できる投資方法として注目を集めています。

具体的な利回りと収益性について、詳しく解説します。

収益アップが見込める条件

都心部の交通利便性の高いエリアでは、稼働率80%以上を実現する物件も存在します。特に、新幹線駅や空港から30分圏内の物件は、ビジネス需要とレジャー需要の両方を取り込むことが可能です。

立地条件に加えて、物件の設備や内装のグレードも収益性を大きく左右します。高級感のある内装や充実したアメニティを備えた物件では、一泊あたりの単価を2万円以上に設定できるケースもあります。

また、複数物件を同一エリアで運営することで、清掃やメンテナンスの効率化が図れ、経費削減にもつながります。

参考になる利回りデータ

民泊投資で成果を上げている投資家の実質利回りの調査を見ると、20%以上の利回りを達成している投資家が41.1%、15〜20%未満が28.8%、10〜15%未満が17.8%となっています。具体的な事例として、都内のある物件では、当初想定の3万5,000円の宿泊料金が、実際には5〜6万円まで上昇し、13〜15%の実質利回りを達成しています。

地方の民泊物件でも、宿泊費を1泊3万円に設定し、年間120日の稼働で360万円の売上が見込めます。さらに、体験プログラムを1人5,000円で提供し、年間60人の利用があれば30万円の追加収入も期待できます。このように、民泊投資は立地や運営方法によって、一般的な不動産投資を大きく上回る利回りを実現できる可能性があります。

稼働率と収益の関係では、年間稼働率70%以上を維持できる物件の場合、月額収入は同規模の賃貸物件と比べて2倍以上になるケースが一般的です。

賃貸と民泊、どちらが儲かる?

一般的な賃貸物件と民泊では、収益構造が大きく異なります。賃貸物件の安定性に対し、民泊は収益の変動リスクを伴いますが、適切な運営により高い収益を実現できる可能性があります。

具体的な違いについて、収益面から詳しく解説します。

賃貸より利益が倍増する理由

通常の賃貸物件では月額7万円程度の家賃設定が一般的な物件でも、民泊として運営することで1泊1万円以上の宿泊料を設定できます。30日の稼働を想定した場合、月間の売上は30万円を超える計算になります。

施設の質やサービス内容に応じて宿泊料を柔軟に設定できる点も、収益増加につながります。観光シーズンや大型イベント開催時には、通常の1.5倍から2倍の料金設定も可能です。

さらに、清掃やアメニティの追加サービスによる付帯収入も期待できます。これらの収益源の多様化により、賃貸と比較して2倍から3倍の利益を実現している事例も存在します。

賃貸 vs 民泊の収益構造

賃貸物件の場合、家賃収入から管理費や修繕費を差し引いた収支計算が基本となります。一方、民泊では宿泊料に加えて、清掃料金やアメニティ収入などの付帯収入が見込めます。

管理面では、賃貸は年数回の定期点検程度ですが、民泊はゲストの入れ替わりごとに清掃や備品補充が必要です。ただし、これらの経費を上回る収入が見込めるため、結果的に高い利益率を実現できます。

運営代行サービスを活用する場合、売上の20-30%程度を手数料として支払う必要がありますが、それでも賃貸経営と比較して高い利益を確保できる可能性があります。

毎月安定収入と変動収入の差

賃貸物件では、毎月定額の家賃収入が確実に得られる反面、収入増加の機会は限定的です。家賃の値上げは難しく、収益向上には大規模なリノベーションなどの追加投資が必要となります。

民泊の場合、季節や曜日により収入が変動します。観光シーズンやイベント期間中は高額な宿泊料設定が可能で、オフシーズンでも価格戦略の工夫により一定の稼働率を維持できます。

また、長期滞在者向けの割引プランの設定や、企業との契約による安定収入の確保など、収益の安定化を図る方法も存在します。適切な運営戦略により、年間を通じて賃貸以上の収益を確保することが可能です。

民泊投資の費用はいくら?

価格

民泊事業を開始するにあたり、物件取得費用以外にも様々な初期費用とランニングコストが必要になります。開業から運営までにかかる具体的な費用について、実際の事例を基に解説します。

物件取得から開業までの費用

中古物件の場合、都心部の30平米のワンルームマンションで3,500万円前後の物件取得費用が必要です。これに加えて、諸費用として物件価格の約8%程度を見込む必要があります。

不動産取得税や登録免許税は物件価格の4%程度、さらに仲介手数料として物件価格の3%程度が発生します。また、民泊営業許可の取得には行政書士への依頼費用として15万円から20万円が必要です。

火災保険料は年間2万円から3万円、さらに施設賠償責任保険として年間5万円程度の費用が発生します。これらの諸費用を含めた開業までの初期投資総額は、4,000万円前後となります。

家具・家電の選び方と費用目安

宿泊施設として快適な空間を提供するため、ベッドやソファなどの家具には30万円から50万円程度の予算が必要です。高級感のある内装を目指す場合、この金額は100万円以上になることもあります。

必須の家電製品として、エアコン、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機などで合計40万円程度を見込みます。Wi-Fi環境の整備には初期費用として5万円、月額利用料として5,000円程度が必要です。

キッチン用品や寝具類などの備品類には20万円から30万円程度を計上します。これらの設備投資により、一泊単価を上げることが可能になり、投資回収までの期間短縮が期待できます。

消耗品や清掃費のランニング計画

清掃費用は1回あたり5,000円から8,000円が相場で、稼働率80%の場合、月間で12万円から15万円程度の支出となります。タオルやシーツなどのリネン類は、クリーニング代として1泊あたり1,500円程度を見込みます。

アメニティ類の補充費用は、1泊あたり500円から1,000円程度必要です。また、消臭剤や洗剤などの消耗品費用として月間1万円程度、設備の修繕費用として年間10万円程度を計上します。

光熱費は季節により変動しますが、月間2万円から4万円程度を見込む必要があります。これらのランニングコストは、宿泊料金に適切に上乗せすることで、収益を確保することが可能です。

民泊投資の利回りを左右する要因とは?

民泊投資の収益性は、立地や物件特性、運営方法など複数の要因により大きく変動します。これらの要因を適切にコントロールすることで、高い利回りを実現することが可能です。

それでは、具体的な要因について詳しく解説します。

観光地などの立地

観光地周辺の物件では、観光需要による高い稼働率が期待できます。特に、世界遺産や有名観光スポットから徒歩圏内の物件では、年間稼働率85%以上を達成している事例も存在します。

公共交通機関へのアクセスも重要な要素となります。駅から徒歩10分以内の物件は、徒歩15分以上の物件と比較して、平均宿泊単価が30%以上高くなる傾向にあります。

観光地に立地する物件では、観光ピーク時に宿泊料金を通常の2倍以上に設定することも可能です。祭りや花火大会などの地域イベント開催時には、さらなる収益アップが見込めます。

物件サイズ

ワンルームタイプは、初期投資を抑えつつ、2名から3名の宿泊に対応できる効率的な間取りとして人気があります。25平米以上の物件であれば、ベッド2台とソファベッドの設置が可能です。

一方、50平米以上の大型物件では、6名以上の団体客の受け入れが可能となり、一泊あたりの売上を大幅に増やすことができます。特に、ファミリー層やグループ旅行者の需要が高いエリアでは、高稼働率を維持しやすい傾向にあります。

物件サイズによって清掃費用や設備投資額も変動するため、エリアの需要に合わせた適切なサイズ選定が重要です。

価格設定

平日と休日で20%から30%の価格差を設けることで、稼働率の向上を図ることができます。また、連泊割引の導入により、長期滞在者の確保も可能です。

競合物件の価格動向を分析し、サービス内容に見合った適切な価格設定を行うことが重要です。過度な値下げ競争は避け、設備やサービスの質を維持することで、リピーター確保につながります。

季節やイベントに応じた柔軟な価格設定により、年間を通じて高い利回りを実現することが可能です。

リフォームや内装

内装のグレードアップにより、宿泊単価を50%以上引き上げることも可能です。特に、キッチンやバスルームの高級仕様への改装は、宿泊者満足度の向上に直結します。

写真映えする内装デザインは、SNSでの口コミ効果も期待できます。投資額は100万円から300万円程度必要となりますが、収益向上により1年から2年での投資回収が見込めます。

定期的な設備更新やメンテナンスにより、高評価を維持することで、安定した予約確保につながります。

インバウンド需要と季節

インバウンド需要は季節により大きく変動します。桜の時期や紅葉シーズンには、宿泊単価を通常の2倍以上に設定することも可能です。

外国人観光客向けに多言語対応の案内や、無料Wi-Fiの設置などの設備投資を行うことで、インバウンド需要の取り込みが容易になります。

オフシーズン対策として、ビジネス需要の取り込みや、長期滞在プランの提供により、年間を通じた安定運営を実現できます。

高利回りを実現するコツは?

民泊投資で高い利回りを実現するには、効率的な運営システムの構築が不可欠です。適切な価格戦略と効果的な集客方法の組み合わせにより、収益を最大化することが可能です。

実践的な運営ノウハウについて、具体的な手法を解説します。

ダイナミックプライシングの活用術

需要と供給のバランスに応じて宿泊料金を柔軟に変動させることで、収益を最大化できます。具体的には、予約状況や競合施設の料金設定をリアルタイムで分析し、最適な価格を設定します。

ホテル業界で実績のある料金設定システムを導入することで、曜日や季節、イベント開催状況に応じた自動価格調整が可能になります。システムの導入費用は月額2万円程度ですが、売上の15%以上の向上が期待できます。

長期休暇やイベント時には、通常料金の3倍までの価格設定も可能です。一方、閑散期には最低価格を設定し、稼働率の維持を図ります。このような戦略的な価格設定により、年間を通じて安定した収益確保が可能になります。

予約サイトのSEO対策を行う

主要な予約サイトに物件を掲載する際は、検索上位表示を意識した施設紹介文の作成が重要です。地域名や観光スポット名などの関連キーワードを自然な形で含めることで、検索されやすい物件となります。

写真についても、室内の清潔感や設備の充実度が伝わる高品質な画像を複数掲載します。特に、バスルームやキッチンなど、宿泊者の関心が高い設備は詳細な写真を用意することで、予約率の向上につながります。

口コミ評価の管理も重要です。宿泊者からの評価コメントには迅速に返信し、要望や改善点には積極的に対応することで、評価スコアの向上を図ります。

運営代行サービスを使う

清掃やチェックイン対応などの実務作業を代行サービスに委託することで、運営の効率化が図れます。代行サービスの利用料は売上の25%程度が一般的ですが、運営負担の軽減により複数物件の管理が可能になります。

専門スタッフによる24時間対応により、緊急時のトラブル対応も迅速に行えます。また、多言語対応や予約管理の効率化により、インバウンド需要の取り込みも容易になります。

さらに、清掃品質の標準化や備品管理の効率化により、高評価の維持が可能になります。代行サービスの活用により、オーナーは物件運営の細かな実務から解放され、収益管理や投資戦略の立案に注力できます。
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まとめ

民泊投資は、適切な立地選定と運営戦略により、一般的な賃貸物件を大きく上回る利回りを実現できる投資方法です。都心部の利便性の高いエリアでは、年間稼働率80%以上、利回り15%以上を達成している物件も存在します。

初期投資には物件取得費用に加えて、設備投資や開業費用として数百万円程度が必要となりますが、ダイナミックプライシングの活用や運営代行サービスの利用により、効率的な収益確保が可能です。

インバウンド需要の回復を見据え、長期的な視点での投資判断が重要となります。