「最近、マンションの様子が何となく変わった…」「近所で見慣れない人の出入りが増えた…」など、住環境の変化に不安を感じている方は少なくありません。特に都市部や観光地では、違法民泊の増加が地域コミュニティの大きな課題となっています。
本記事では、違法民泊の特徴や見分け方について、具体的な確認方法をご紹介します。
違法民泊とは?

民泊サービスの普及に伴い、近年特に注目を集めているのが違法民泊の問題です。住宅街の治安維持や地域コミュニティの安全を守るためにも、違法民泊について正しい知識を持つことが重要になっています。
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合法民泊と違法民泊の違い
住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく適切な手続きを経ていない宿泊施設が、違法民泊にあたります。合法的な民泊には、必ず各都道府県への届出と登録番号の取得が義務付けられています。
施設の安全面においても、合法民泊と違法民泊には明確な違いがあります。合法民泊では、非常口の設置や消火器の配備など、細かな安全基準を満たすことが求められます。一方、違法民泊ではこれらの安全対策が不十分なケースが散見されます。
管理体制の面では、合法民泊の場合、緊急時の連絡先が明確で、近隣住民からの問い合わせにも適切に対応できる体制が整っています。施設の衛生管理についても、定期的な清掃や換気など、具体的な基準に従って運営されています。
違法民泊が増加する理由
観光需要の急増に伴い、宿泊施設の不足が深刻化しています。この需給ギャップに目をつけた一部の事業者が、法的手続きを無視して営業を始めるケースが増加しています。
次に、合法的な民泊運営には相応の初期投資と時間が必要です。消防設備の設置や建築基準法への適合など、様々な要件を満たす必要があります。これらの負担を避けるため、違法に営業を開始する事例が後を絶ちません。
さらに、インターネットの普及により、個人間での物件の貸し借りが容易になっています。SNSや個人サイトを通じて、法的な規制を受けずに宿泊者を募集する行為が増加している現状があります。
このような状況を踏まえると、私たち一人一人が違法民泊の特徴を理解し、適切に対応できる知識を持つことが重要です。違法民泊は、地域の安全性を脅かすだけでなく、結果として観光産業全体の信頼性を損なう可能性があります。
違法民泊の特徴とは?

民泊施設の外観や運営状態から、違法性の有無を見分けることは可能です。安心・安全な環境を守るために知っておくべき特徴を解説します。
許可の未取得
届出番号の表示は、合法民泊の最も重要な要素の一つです。建物の入り口や看板に届出番号が掲示されていない施設は、違法民泊の可能性が高いと考えられます。
合法的な民泊施設では、各都道府県から交付される「住宅宿泊事業者標識」を掲示することが義務付けられています。この標識には13桁の届出番号が記載されており、誰でも確認することができます。
また、施設の管理者や緊急連絡先が明確に表示されていないケースも要注意です。合法民泊では、24時間対応可能な連絡体制の整備が求められているためです。
法律違反の営業形態
違法民泊の多くは、法律で定められた営業日数の制限を無視して営業を行っています。住宅宿泊事業法では、年間営業日数が180日以内と定められています。
また、マンションやアパートの場合、管理規約で民泊営業が禁止されているにもかかわらず、営業を続けているケースも見受けられます。このような施設では、近隣住民への配慮や説明が不十分なことが多いのが特徴です。
さらに、宿泊者名簿の未整備や本人確認の不実施なども、違法民泊の典型的な特徴といえます。これらは防犯上の重大な問題につながる可能性があります。
安全性・衛生面の問題
消防設備の設置状況は、違法民泊を見分ける重要な指標となります。非常口の表示が不明確、消火器の未設置、火災報知器の不備などが見られる施設は、法令に違反している可能性が高いです。
衛生管理面では、定期的な清掃や換気が行われていない様子が見受けられる場合があります。特に、共用部分の管理が行き届いていない、廊下やエントランスにゴミが放置されているなどの状況は、違法民泊の可能性を示唆します。
また、防音対策が不十分で、深夜まで騒音が発生するような施設も要注意です。合法民泊では、近隣への配慮として適切な防音措置が講じられています。
低価格な価格設定
法定の安全基準や衛生管理基準を満たすための費用を考慮すると、適正な価格帯というものが存在します。その地域の相場から著しく逸脱した安価な料金設定は、違法民泊を疑う一つの指標となります。
特に、繁忙期であっても周辺の宿泊施設と比べて極端に安い料金を提示している場合は注意が必要です。これは必要なコストを削減して運営している可能性を示唆しています。
また、支払い方法が現金のみで、領収書の発行を拒否するなどの不透明な会計処理も、違法性を疑う要素となります。適切な税務申告を行っていない可能性が高いためです。
以上の特徴は、違法民泊を見分ける重要な指標となりますが、これらの特徴が一つでも当てはまれば即座に違法と判断するのではなく、総合的に判断することが重要です。
営業許可は確実に確認できる?

民泊施設の合法性を確認することは、安全な宿泊環境を選ぶ上で非常に重要です。営業許可の確認方法には複数のアプローチがあり、それぞれの特徴を理解することで、より確実な判断が可能になります。
標識の確認
住宅宿泊事業法に基づく合法的な民泊施設には、必ず「住宅宿泊事業者標識」の掲示が義務付けられています。この標識には、Mから始まる13桁の届出番号が記載されており、施設の入り口や受付付近で確認することができます。
標識には施設の正式名称や所在地、管理者の連絡先なども記載されています。特に重要なのは、標識の発行元である都道府県名や政令市名が明記されていることです。これらの情報が不明確な場合や、標識自体が見当たらない場合は、注意が必要です。
また、標識のデザインは全国統一のフォーマットが使用されています。偽造防止の観点から、特殊な用紙や印刷方法が採用されているため、コピーや模倣品と本物を見分けることも可能です。
自治体での確認
各都道府県や政令市では、民泊施設の届出情報をデータベース化しています。多くの自治体では、このデータベースをウェブサイト上で公開しており、誰でも無料で閲覧することができます。
確認方法は非常に簡単です。自治体のウェブサイトにアクセスし、届出番号や施設名称を入力することで、その施設が正式に登録されているかどうかを確認できます。データベースには、営業許可の有効期限や営業制限区域の情報なども含まれています。
自治体によっては、電話やメールでの問い合わせにも対応しています。特に不明な点がある場合は、担当部署に直接確認することで、より詳細な情報を得ることができます。
事業者への確認
合法的な民泊事業者は、宿泊者からの問い合わせに対して適切に対応する体制を整えています。営業許可に関する質問にも、明確な回答を提供することができます。
事業者に確認する際のポイントとしては、届出番号の提示を求めることはもちろん、管理体制や緊急時の対応方法についても具体的に確認することをお勧めします。合法的な事業者であれば、これらの質問に対して具体的かつ明確な回答を提供できるはずです。
また、事業者が提供する契約書や重要事項説明書にも、営業許可に関する情報が記載されています。これらの書類の内容を確認することで、より確実な判断が可能になります。
保健所での確認
保健所では、民泊施設の衛生管理状況や安全基準の遵守状況を確認することができます。特に、食事の提供を行う施設については、保健所での確認が重要になります。
保健所での確認では、施設の衛生管理体制や感染症対策の状況、食品衛生に関する許可の有無などを確認することができます。これらの情報は、施設の安全性を判断する上で重要な指標となります。
また、保健所には過去の衛生監査の記録や、住民からの苦情相談の履歴なども保管されています。これらの情報を確認することで、施設の運営状況をより詳細に把握することが可能です。
営業許可の確認は、一つの方法だけでなく、複数の確認方法を組み合わせることで、より確実な判断が可能になります。特に重要なのは、確認した情報の整合性です。それぞれの確認方法で得られた情報に矛盾がないかどうかを、慎重に確認することをお勧めします。
違法民泊の兆候とは?近隣住民が注意すべきポイントは?

住環境の安全を守るため、違法民泊の早期発見は重要な課題となっています。日常生活の中で気付く小さな変化が、違法民泊を見つけ出すきっかけとなることがあります。
日常生活での異変を見逃すな
マンションやアパートの日常的な雰囲気が突然変化することは、違法民泊の存在を示す重要なサインとなります。特に深夜や早朝の人の出入りが増加し、キャリーケースを持った見知らぬ人々が頻繁に出入りする状況は、要注意です。
生活音のパターンにも注目が必要です。通常の居住者であれば、平日と休日で生活リズムがある程度一定していますが、違法民泊では不規則な時間帯に騒がしくなることがあります。特に、深夜のパーティー音や、早朝からの大きな話し声は典型的な特徴です。
また、ベランダの使用状況も重要な判断材料となります。洗濯物の様子が日によって大きく異なる、喫煙者が頻繁に入れ替わる、深夜までベランダで談笑する声が聞こえるなどの変化にも注意が必要です。
共用部分での不審な行動
エレベーターや廊下といった共用部分での行動パターンは、違法民泊を見分ける重要な手がかりとなります。居住者であれば自然に行動できる場所で、地図や携帯電話を頻繁に確認する人が増えることは、不自然な状況といえます。
また、共用部分の使用マナーにも注目です。ゴミ出しルールを守らない、分別が適切でない、指定の場所以外にゴミを放置するなどの行為が見られる場合、短期滞在者による違法民泊の可能性があります。
さらに、宅配便の配達や受け取りの様子も重要な観察ポイントです。通常の居住者であれば、不在時の再配達依頼などにも適切に対応できますが、違法民泊の利用者は、そういった対応が困難なケースが多くみられます。
キーボックスの存在
建物の外壁や玄関付近に設置されたキーボックスは、違法民泊を示す重要な物的証拠となります。特に、暗証番号式のキーボックスが複数設置されている場合は、注意が必要です。
正規の居住者であれば、通常は管理人や管理会社を通じて鍵の受け渡しが行われます。しかし、違法民泊では対面での鍵の受け渡しを避けるため、キーボックスを利用することが一般的です。
このようなキーボックスは、防犯上の重大な問題にもなりかねません。暗証番号が定期的に変更されない場合、以前の利用者が再び侵入する可能性も考えられます。
不自然な人の出入り
通常の居住形態では見られない、不自然な人の出入りのパターンも重要な注目点です。特に、数日おきに全く異なる人々が入れ替わり、その度に大きな荷物を持ち込むような状況は、違法民泊の典型的な特徴です。
また、入居者が定期的に入れ替わるにもかかわらず、管理会社への届け出や引っ越し業者の姿が見られないことも、不自然な状況といえます。正規の賃貸契約であれば、これらの手続きは必須となるためです。
さらに、外国人観光客が頻繁に出入りする様子が見られる場合も要注意です。もちろん、外国人居住者がいること自体は何ら問題ありませんが、短期間で入れ替わる状況は、違法民泊の可能性を示唆しています。
このような兆候に気付いた場合は、個人で直接対応するのではなく、管理組合や管理会社、必要に応じて行政機関に相談することをお勧めします。また、周辺住民との情報共有も重要です。複数の住民から同様の情報が寄せられることで、より正確な状況把握が可能になります。
まとめ
違法民泊の見分け方について、重要なポイントを解説してきました。合法・違法の判断には、許可証や届出番号の確認が最も確実な方法となります。また、日常生活での異変や不自然な人の出入りなど、違法民泊の兆候にも注意が必要です。
こういった変化に気付いた際は、一人で抱え込まず、管理組合や行政機関への相談をお勧めします。違法民泊から地域の安全を守るためには、住民一人一人の意識と適切な対応が重要です。本記事の内容を参考に、お住まいの地域の安全確保にお役立てください。