Airbnbでの民泊運営に期待を寄せながらも、思うような収益が上がらずに悩んでいる方は少なくありません。競争激化による価格の下落や、予想以上にかさむ運営コストなど、収益化への道のりには様々な課題が存在します。

この記事では、Airbnbが儲からないと言われる本質的な理由から、具体的な収支改善策まで、民泊運営の収益性に関する重要なポイントを徹底的に解説します。

なぜAirbnbは儲からないと言われるのか?

Airbnbでの収益化に期待を寄せる多くのホストが、実際の運営で直面する現実について説明します。収益性に関わる具体的な課題から、その背景にある構造的な要因まで詳しく見ていきましょう。

市場の競争激化で価格競争に陥る

都市部を中心に民泊物件数が急増したことにより、宿泊料金の値下げ圧力が強まっています。2023年の東京都心部における民泊物件数は前年比で30%増加し、供給過多の状態が続いています。

特に観光地や繁華街では、周辺物件との価格競争に巻き込まれ、利益率が大幅に低下する事例が増加しています。実際に、新規参入から半年以内に価格を20%以上下げざるを得なかったホストが全体の4割に上ります。

また、大手ホテルチェーンの価格戦略により、民泊の価格優位性が失われつつある現状も見逃せません。特に平日の稼働率向上のため、ホテル側が柔軟な価格設定を行うようになり、民泊との価格差が縮小しています。

運営コストが予想以上にかかる

清掃費用は、1回あたり4,000円から8,000円が相場となっており、稼働率が高まれば高まるほど、経費も比例して増加します。さらに、アメニティの補充や消耗品の交換など、細かな出費が積み重なっていきます。

光熱費においては、ゲストが不在時でもエアコンを常時稼働させる必要があるケースや、水道光熱費の使用量が一般居住用に比べて1.5倍から2倍になることも珍しくありません。

定期的なメンテナンスや設備の更新費用も見過ごせない支出項目です。快適な宿泊環境を維持するために、年間で物件価値の3%から5%程度のメンテナンス費用を見込む必要があります。

季節変動で安定した収入が得にくい

観光シーズンやイベント時期には高い稼働率を記録できますが、オフシーズンでは極端に予約が減少します。東京都内の民泊物件における2023年の稼働率データによると、繁忙期と閑散期で最大40%もの稼働率の差が生じています。

平日と休日の稼働率格差も大きな課題となっています。平日の稼働率は休日に比べて平均して30%ほど低く、月間の収入が安定しにくい要因となっています。

年間を通じた収支計画が立てにくく、固定費の支払いに苦慮するホストも少なくありません。特に、ローンを組んで物件を購入したケースでは、返済計画に支障をきたすリスクが高まります。

予期せぬトラブル対応で経費が膨らむ

深夜のカギトラブルや設備の緊急故障など、想定外の対応が必要となるケースが発生します。緊急コールの出動費用は1回あたり1万円から3万円が相場で、年間数回の出動で予想以上の出費となります。

家具や設備の破損も予想以上に発生し、保険でカバーできない小規模な修繕費用が積み重なっていきます。実際の運営では、月間収入の10%から15%程度を予備費として確保しておく必要性があります。

近隣住民からのクレーム対応や、騒音トラブルの解決にかかる費用も無視できません。防音工事や設備の追加導入など、想定外の投資が必要となるケースも少なくありません。

Airbnbの手数料はどのくらいかかるの?

Airbnbでの宿泊施設運営における実際の手数料負担について解説します。基本的な手数料から付随する諸費用まで、具体的な金額とともに確認していきましょう。

ホスト側の基本手数料

Airbnbのホスト手数料は予約成立時の宿泊料金に対して発生し、通常は15%が基本料率として設定されています。例えば、1泊10,000円の予約が入った場合、1,500円が手数料として差し引かれる計算になります。

特別プロモーション期間中やスーパーホスト認定を受けている場合は、手数料率が13%まで引き下げられる場合があります。一方で、厳選された高級物件向けのラグジュアリープログラムでは、手数料率が20%に設定されています。

海外からの予約の場合、為替手数料として追加で2%程度が上乗せされるため、実質的な手数料負担は増加します。この点は国際的な集客を目指すホストにとって見過ごせない費用となります。

清掃費用

プロの清掃サービスを利用する場合、都市部での相場は1回あたり8,000円から12,000円です。シーツやタオル類のクリーニング代を含めると、1回の清掃で実質15,000円程度の経費が発生します。

ベッドメイキングや備品の補充作業を含む清掃時間は、1DKサイズの物件で平均2時間から3時間が必要です。短時間での連続した予約が入る場合、清掃スタッフの確保が困難になり、緊急対応料金として通常の1.5倍の費用がかかるケースもあります。

品質維持のための定期的な特別清掃も必要不可欠です。エアコンのフィルター清掃やカーペットクリーニングなど、3ヶ月に1回程度の実施で年間10万円程度の追加費用が見込まれます。

光熱費や消耗品

一般的な賃貸物件と比較して、民泊物件の光熱費は1.5倍から2倍の使用量となります。夏季のエアコン使用時期には、1か月あたりの電気代が20,000円を超えることも珍しくありません。

消耗品の補充頻度も高く、トイレットペーパーやシャンプー類は通常の3倍程度の消費量です。アメニティグッズを含む消耗品費は、1組のゲストあたり2,000円から3,000円の費用が必要になります。

インターネット回線料金やテレビ受信料などの固定費も毎月発生し、これらの基本インフラ維持費用だけでも月額15,000円程度の支出となります。

キャンセル時の手数料負担

ゲストのキャンセルポリシーによって、返金額が異なります。厳格なキャンセルポリシーを設定すると予約が減少するリスクがあり、柔軟なポリシーを採用せざるを得ない状況です。

チェックイン直前のキャンセルでは、清掃スタッフの手配やアメニティの準備が完了している状態のため、実質的な損失が発生します。特に繁忙期のキャンセルは、代替予約の確保が難しく、収益機会の損失につながります。

不可抗力による予約キャンセルの場合、Airbnbの判断により手数料が全額返金となることがあり、ホスト側の準備費用が補償されないケースもあります。リスクヘッジとして、年間収入の5%程度をキャンセル対応の予備費として確保する必要性があります。

Airbnbで儲からない物件の特徴とは?

エアビーアンドビー

民泊物件の成功には立地や物件特性が大きく影響します。収益性を左右する重要な要素と、実際の運営現場で直面する課題について詳しく解説します。

競合が多すぎる人気エリア

観光地や繁華街の中心部では、徒歩圏内に100件以上の民泊物件が集中するエリアも存在します。2023年の調査データによると、新宿区や渋谷区の主要駅周辺では、半径500メートル以内に平均150件の民泊物件が登録されています。

競合過多のエリアでは、価格競争に巻き込まれやすく、適正な宿泊料金の維持が困難になります。実際に、競合の多いエリアでは、新規参入から3ヶ月以内に当初設定価格から30%以上の値下げを強いられるケースが報告されています。

稼働率を確保するため、価格以外の差別化要素を打ち出そうとしても、すでに多くの特徴的な物件が存在するため、独自性を発揮することが極めて難しい状況となっています。特に、家具やインテリアへの追加投資を行っても、競合物件との価格差を埋められないケースが増加しています。

アクセスの悪い物件

最寄り駅から徒歩15分以上の物件では、予約率が駅近物件と比較して平均40%低下するデータが出ています。特に、雨天時や大きな荷物を持つ外国人旅行者にとって、アクセスの良さは決定的な選択要因となります。

公共交通機関の運行終了後、タクシーでのアクセスが必要となる立地条件では、深夜のチェックインに対応できないケースも発生します。これにより、ビジネス利用や長距離移動後の宿泊需要を取り逃がす結果となっています。

住宅街の奥まった場所に位置する物件では、道案内や緊急時の対応が複雑化します。実際の運営では、チェックイン時の案内に人手が必要となり、人件費の上昇につながるケースも少なくありません。

コンセプト不足で埋もれる物件

物件の特徴や魅力が明確に打ち出せていない場合、検索結果の下位に埋もれてしまう傾向があります。Airbnbの検索アルゴリズムでは、ユニークな特徴や明確なターゲット設定がある物件が優先的に表示される仕組みとなっています。

標準的な家具や設備のみを備えた物件は、価格以外の選択理由を提供できず、結果として価格競争に巻き込まれやすくなります。宿泊者の記憶に残る特徴的な要素がないため、リピーター獲得も困難な状況となります。

写真撮影やプロフィール作成に十分な投資を行わない物件は、予約獲得の機会を逃しています。プロカメラマンによる撮影を実施した物件では、予約率が平均して25%向上するというデータも存在します。

民泊運営の収支はどう改善できる?

実際の運営データと現場経験に基づいた、具体的な収支改善策について解説します。理論的なアプローチだけでなく、即実践可能な施策から中長期的な戦略まで、体系的に見ていきましょう。

検索順位を上げて予約率を改善

Airbnbの検索アルゴリズムでは、ホストの応答率と応答速度が重要な評価要因となります。24時間以内の返信率を95%以上に保つことで、検索順位が平均で30位程度上昇するデータが確認されています。

写真の質と数も検索順位に大きく影響します。プロカメラマンによる撮影を実施し、20枚以上の高品質な写真をアップロードすることで、閲覧から予約までの転換率が2倍以上向上した事例も報告されています。

レビュー評価の管理も重要です。特に清潔さと設備の充実度に関する評価が4.8以上の物件は、検索上位に表示される確率が高くなります。実際の運営では、チェックアウト後の丁寧な清掃と、定期的な設備点検が欠かせません。

適切な価格設定で収益を最適化

需要予測に基づいた動的な価格設定が効果的です。週末と平日で30%程度、繁忙期と閑散期で最大50%の価格差を設定することで、年間を通じた稼働率の平準化が可能となります。

近隣の競合物件価格をモニタリングし、自動的に価格調整を行うツールの活用も有効です。価格調整ツールを導入したホストの83%が、収益の15%以上の改善を達成しています。

最低宿泊数の設定も収益性向上のカギとなります。1泊のみの予約を制限し、2泊以上の予約に限定することで、清掃費用の効率化と運営負荷の軽減が実現できます。

運営コストの見直し

清掃業者の一括契約による単価引き下げが有効です。月間10件以上の定期契約を結ぶことで、1回あたりの清掃費用を20%程度削減できた事例があります。

アメニティの仕入れルートの見直しも重要です。大量発注による単価引き下げや、オリジナルアメニティの開発により、1組あたりのコストを従来の3,000円から1,800円に抑制した実績があります。

IoT機器の導入による光熱費の削減も効果的です。スマートロックやスマート家電の活用により、年間の光熱費を30%削減できたケースも報告されています。

リピーター獲得で安定収入を確保

ビジネス利用者向けの特別プランを設定し、定期的な利用を促進します。月に1回以上の定期利用があるビジネス客は、通常より20%高い宿泊単価での予約が可能となります。

長期滞在者向けの割引プランも効果的です。1週間以上の連泊に対して15%の割引を適用することで、稼働率の安定化と清掃費用の削減を両立できます。

季節ごとの特別サービスの提供により、顧客満足度を向上させます。夏季の浴衣レンタルや冬季の鍋セット提供など、季節に応じたサービスでリピート率の向上が期待できます。

長期滞在者向けプランで収益改善

長期滞在者向けの月単位での価格設定により、安定的な収入確保が可能です。30日以上の滞在で通常料金から30%割引を適用しても、清掃費用の削減効果により利益率は改善します。

法人契約の開拓も有効な戦略です。研修生や出張者の長期滞在需要を取り込むことで、年間を通じた安定収入が確保できます。実際に、法人契約による長期予約は、通常の短期予約と比較して40%高い収益性を実現しています。

マンスリーマンションとの価格競争力を維持しながら、家具や設備の充実度で差別化を図ります。特にキッチン設備の充実や洗濯設備の完備により、長期滞在需要の取り込みに成功した事例が増えています。

儲からない場合は売却をすることも検討しよう

収益改善の取り組みを継続しても十分な利益を確保できない状況が続く場合、損失を最小限に抑えるための判断が必要です。直近の不動産市況では、住居用物件や投資物件としての需要が高まっており、売却のタイミングとして良いタイミングでもあります。

不動産価格の上昇局面では、民泊物件を住居用途に転換して売却することで、当初の投資額を上回る売却益を確保できる可能性があります。特に、駅近の物件や利便性の高いエリアでは、住居用物件としての価値が上昇傾向にあります。

また、売却時期の見極めも重要な要素となります。地域の再開発計画や新たな交通インフラの整備など、将来的な価値上昇が期待できる要因を考慮に入れた判断が求められます。売却による損失を回避しながら、新たな投資機会への資金活用も視野に入れることができます。
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まとめ

Airbnbでの収益確保には、市場環境の理解と戦略的なアプローチが不可欠です。競争激化や運営コストの問題は避けられませんが、適切な物件選びと効率的な運営体制の構築により、収益性の改善は十分に可能です。予約率の向上、コスト削減、そして長期滞在者の獲得など、具体的な施策を組み合わせることで、持続可能な民泊ビジネスの実現につながります。